○「みんなで咲かそう手話の花」交野市手話言語条例

令和2年3月31日

条例第13号

手話は、音声ではなく手や指、体などの動きや表情を使って表す独自の語彙や文法体系を持つ言語である。

手話は、それを使うろう者によって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段として大切に守られ、重要な役割を担ってきた。

しかしながら、多くのろう学校で手話が禁止され、社会でも手話を使うことで差別されてきた過去があり、ろう者は必要な情報を得ることもコミュニケ―ションを図ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきた長い歴史がある。

平成18年12月に、第61回国連総会において採択され、我が国も批准している「障害者の権利に関する条約」において、言語は「音声言語及び手話その他の形態の非音声言語」と定義された。

また、平成23年8月には、「障害者基本法」(昭和45年法律第84号)第3条第3項において、「全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と改められた。

障がい者が意思疎通のために使う手段は、障がい特性に応じ、態様の異なる様々なものがある。障がいの有無にかかわらず、全ての市民が個人の尊厳を大切にし、共に暮らす共生社会の実現をめざして、手話が言語であることの認識を広め、いつでも手話を使うことができる環境整備の実現を願い、聞こえない人、聞こえる人が共に支え合って生きる交野にこの条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において、手話が言語であると位置付けられたことを踏まえ、手話への理解の促進及び手話の普及に関して基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、施策の基本的事項を定めることにより、手話への理解の促進及び手話の普及を図り、もって全ての市民が相互に人格と個性を尊重し合い、共に支え合いながら暮らすことができる地域共生社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例においてろう者とは、手話を主なコミュニケーションの手段として用いる聴覚障がい者及び聴覚障がい児をいう。

(基本理念)

第3条 手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進と普及を図り、ろう者が手話によりコミュニケーションを図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話への理解の促進及び手話の普及を図り、ろう者が手話を使用しやすい環境を整備するための施策の推進に努めるものとする。

(市民及び事業者の役割)

第5条 市民及び事業者は、地域社会で共に暮らす一員として、手話でコミュニケーションを図ることにより、暮らしやすい地域社会の実現に寄与するよう努めるものとする。

2 市民及び事業者は、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

(施策の推進)

第6条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。

(1) 手話への理解の促進及び手話の普及に関する施策

(2) 手話による情報発信及び情報取得に関する施策

(3) 手話による意思疎通の支援に関する施策

(4) 手話通訳者の設置、配置の拡充及び処遇改善に関する施策

(5) 教育現場での手話の普及に関する施策

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項の施策と市が別に定める障がい者の福祉に関する計画との整合性に配慮するものとする。

(手話を学ぶ機会の確保)

第7条 市は、手話でコミュニケーションを図ることができる者と協力して、市民が手話を学ぶ機会の確保に努めるものとする。

(意見の聴取)

第8条 市は、第6条第1項に規定する施策を推進するにあたっては、ろう者その他の関係者からの意見聴取に努めるものとする。

(財政措置)

第9条 市は、第6条第1項に規定する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(委任)

第10条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

「みんなで咲かそう手話の花」交野市手話言語条例

令和2年3月31日 条例第13号

(令和2年4月1日施行)