令和6年度施政方針

公開日 2024年02月27日

 山本景市長は、令和6年2月26日、令和6年第2回議会定例会で、令和6年度の施政方針を表明しました。

 施政方針は次のとおりです。

 令和6年度施政方針[PDF:635KB]

 

目次

0.はじめに
1.令和6年能登半島地震
2.みんなでつくるみんなの交野
 (1)コミュニティーバス
 (2)財政健全化
 (3)物価高騰対策
 (4)市役所耐震化
 (5)子育て支援
3.重点施策の状況
 (1)学校整備
 (2)水道料金値上げ凍結
4.令和6年度の主要な取組み
 (1)みんなで子どもを育み、子どもがのびのびと学ぶまち
 (2)みんなが互いを認め支え合い、笑顔と元気があふれるまち
 (3)みんなが助け合い、安心して住み続けられるまち
 (4)みんながつどい交流し、活力が生まれるまち
 (5)みんなで自然や文化を慈しみ、次世代に引き継いでいくまち
5.予算編成
6.おわりに

 

はじめに

 令和6年第2回議会定例会にて、予算をはじめとする諸議案をご審議賜ります。そのため、新年度における市政の運営方針と予算の概要を申し上げます。また、交野市議会議員並びに交野市民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

1.令和6年能登半島地震

 本年1月1日に発災した、石川県能登地方を震源とする「令和6年能登半島地震」でお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表します。また、被災された全ての皆様に、改めて心よりお見舞いを申し上げます。
 最大震度7を観測した地震発生から2か月近く経過しました。しかし、被災地では、今なお上下水道が充分に復旧しない等、過酷な状況が続いております。交野市は、被災地の一日も早い復旧、復興に向け支援を行っております。

 交野市は、発災直後から、速やかに緊急消防援助隊として消防職員を派遣しました。また、私が所属する全国青年市長会のネットワークを活かし、被災自治体の首長と直接協議を進めました。1月3日午前9時には大阪府下43市町村で最も早く被災地である富山県高岡市に給水車を派遣しました。また、同日中に石川県金沢市内の支援物資集積拠点へ支援物資を搬送しました。大きな被害を受けた石川県輪島市に独自にヒアリングを実施しました。1月6日、大阪府トラック協会北東支部の協力を得て、同支部に加入する市内事業者により、物資を搬送しました。

 1月30日、臨時議会を開会しました。災害時の避難所におけるトイレ確保策として、トイレトラックの導入のための債務負担行為補正を含む予算をご可決賜わりました。当該トイレトラックは、「みんな元気になるトイレ」プロジェクトという枠組みを活用します。さらにこれまでの「みんな元気になるトイレ」プロジェクトでのトイレトレーラーと異なり、全国自治体初のトイレトラックを導入します。そして、トイレトラックが導入され次第、被災地への派遣を予定しております。加えて、交野市が地震等で被災した場合、「みんな元気になるトイレ」プロジェクトに参画している他の約20自治体から、優先的な支援も受けられます。また、通常時、交野市役所での利用、防災訓練での利用、イベントでの利用、大規模改修予定の交野市立中学校での利用、を予定しています。さらに、避難所環境の向上のため、静岡県藤枝市に続く、全国自治体2番目、西日本自治体初のAI循環式シャワートラックの整備を進める予定です。また、現在、全国自治体初のランドリートラックの導入に向けて、調整を進めています。あわせて、危機管理室の体制強化を図ります。
 交野市の各施設にて災害義援金を受付けし、日本赤十字社に寄付する予定です。また、私市小学校、藤が尾小学校、交野みらい小学校、交野第一中学校、交野第三中学校、交野第四中学校、の児童や生徒の皆様が集めて下さった義援金等は、今後、私が直接被災地へ届ける予定です。

 いつ起きるか分からない大規模災害に、交野市がいつ被災する側になるかはわかりません。交野市が可能な限りの支援を行うことは、結果として交野市が被災した際に助けてもらえるものと私は確信しております。そのため、今後も可能な限り支援を継続していく予定です。

 

2.みんなでつくるみんなの交野

 私は、交野市長選挙において「みんなでつくるみんなの交野」を掲げて参りました。そのため、市民と直接意見交換できる場を作り、その声を市政に反映して参りました。
 令和5年度より開始しました「市長とのタウンミーティング」で、16の地区及び3つの市民グループとの意見交換を実施しました。また、私の公約にかかわる「第一中学校区の学校整備」、課税の公平性確保のための「都市計画税の課税区域の見直し」、市民生活に影響の大きい「水道料金改定及び物価高騰対策」は、自ら市民説明会に出席しております。そして、市民の皆様に私の考えをお伝えし、直接ご意見を伺って参りました。今後も、市民の皆様の貴重なご意見を市政に活かすため、同様の取組を継続します。また、令和4年度から令和5年度、部長・次長・課長を除く全ての一般職員との意見交換会を実施しております。

 ただし、7万7,000人の交野市民全員から直接意見を聞くことは困難です。そのため、就任から1年が経過した昨年末、独自に自動音声による電話世論調査を実施しました。調査結果によると、約65%の交野市民の皆様が現市長を高く評価するないしはどちらかといえば評価すると回答しています。その割合は、私が過去に調査を実施した前市長時代の約2倍に上りました。また、併せて調査を実施した重要視する政策は、コミュニティーバスが約30%、財政健全化が約18%、物価高騰対策が約14%、市役所の耐震化が約10%、給食無償化が約10%、でした。一方で、学校の跡地利用は約4%、水道料金値上げは約1%、でした。
 そのため、次年度は、ハコモノ行政ではなく、(1) コミュニティーバス、(2) 財政健全化、(3) 物価高騰対策、(4) 交野市役所の耐震化、(5) 子育て支援、に全力を挙げて参る所存であり、順にその詳細を申し述べます。

 

(1)コミュニティーバス

 約5年前の交野市長選挙の前、前市長により「路線バスの維持など地域の移動手段の確保」と記載したビラが配布されました。しかし、前市長は、令和2年4月末にゆうゆうバスを一方的に廃止しました。結果、高齢者や障がいのある方々の足に痛打を与えました。交野市は、現在も京阪バスに対して約2,000万円の財政支援を行っております。しかし、ゆうゆうバスを廃止しても、路線バスは維持されておりません。令和2年4月と比較しても路線バスは明かに縮小しています。
 こうした状況を踏まえ、令和5年度、道路運送法に基づく「地域公共交通会議」を設置しました。その中で、公共交通関係者と今後のあり方等の議論を進めております。また、寺・神宮寺地区を通っていた巡回バスを東倉治地区へ延伸し、停留所を2か所追加しました。さらに、森地区に停留所を追加し、交通系ICカード等の運賃補助を倍増しました。

 令和6年度、京阪バスへの3年間の財政支援が終了します。そのため、令和7年度以降の市内バス路線等は、京阪バスと協議を進めます。また、他のバス事業者を含めて、ゼロベースで交野市独自の公共交通施策の検討を進めて参ります。そのため、関係する都市まちづくり課と福祉総務課の体制強化を図ります。また、現在、「地域公共交通会議」における議論を実施しております。その結果を踏まえ、梅が枝地区、松塚地区、郡津地区、幾野地区、を対象に、道路運送法第21条に基づく有償旅客交通の実証運行を実施します。この実証運行は、交通事業者以外の地域の商業や福祉施設等の多様な関係者と連携します。そうすることで、国土交通省から地域交通共創モデル実証プロジェクトの認定を受け、3分の2の補助を受ける予定です。また、有償旅客交通の費用対効果等の検証を重ねて参ります。
 併せて、外出支援制度の拡充を実施します。具体的には、70歳までの対象年齢の引下げ、交通系ICカード等活用運賃補助事業とほぼ同額のタクシーチケット利用料助成の導入、妊婦の方へのタクシー運賃補助の対象期間の延長、です。

 

(2)財政健全化

 私は、財政が厳しくてお金がないと言うのは単なる言い訳だと考えます。まずは事業でお金がかからないようにし、事業でお金がかかる部分は国の補助金や地方交付税の基準財政需要額への算入を最大化し、残額は、稼いだお金で充当して参りました。

①身を切る改革
 市長自ら身を切る改革を実施し、市長の退職金不支給、交際費の利用停止、等を実施しています。加えて、市長公用車を51万5151円で売却し、電気自動車日産サクラと充電設備一式をもらいました。市長室の机とイスを50万円で売却し、立派な机とイスをもらいました。これら売却代金と令和5年度中の公用車有料広告掲載料19万8,000円とで公用車53台にドライブレコーダーを設置しました。

 

②金利収入確保と金利圧縮
 日本国債の残存年数毎の金利を表すイールドカーブがスティープ化しております。平成28年9月21日から、当座預金の政策金利残高の金利は、-0.1%のマイナス金利です。一方で、日本国債のイールドカーブコントロールにより、10年国債の金利の変動幅は±1.0%です。さらに、20年国債、いわゆる超長期の金利は約1.5%です。そのため、短期、長期、超長期、の金利差は明白だと考えます。
 そのため、約100億円の基金のうち、現在約70億円を債券運用に投じています。結果、今後10年間、交野市は、毎年1億円以上の金利収入が得られます。更なる運用の実施は、交野市の長期的な財政見通しを踏まえて決定した運用可能額の範囲で実施する予定です。
 一方で、我が国の潜在成長率は2000年以降1.0%以下です。期待インフレ率も低いことから、今後の金利上昇は、限定的と考えます。そのため、資金調達は短期金利をベースに実施します。令和6年4月と5月の出納整理期間に令和5年度の市債を発行する予定です。その額は、臨時財政対策債を除くと約43億円です。その43億円の市債を長期・約1%の市債ではなく、短期・0.3%の市債にします。すると、年約3,000万円も金利を圧縮できます。令和4年度、年約700万円の金利を圧縮しているため、通算、年約3,700万円の金利を圧縮できます。令和6年度の市債発行予定額は約54億円を予定していることから、市債も短期0.3%の市債にすると、通算、年約7,400万円の金利を圧縮できます。さらに、交野市は、土地開発公社の土地の買戻しのため、大阪府から多額の借入をしています。そのため、借入金利が高い借入だけ違約金を支払わずに前倒しで返済しました。結果、令和5年度ベースで年約578万円の金利を圧縮し、今後も更なる金利の圧縮を目指します。

 

③緊急防災減災事業債や緊急自然災害防止対策事業債による土地開発公社の清算
 土地開発公社保有残高のピークは、約368億円でした。そのため、これまで約20年にわたり、公社保有地を、交野市が一般財源や起債で買戻しました。令和4年度末、土地開発公社保有残高は約53億円です。また、土地開発公社の買戻しのための起債残高は第三セクター等改革推進債を含めて約72億円でした。合計すると依然として約125億円にも上っております。また、一般財源で買戻した土地は売却できますが、起債で買戻した土地は、返済が終わるまで売却できません。さらに、土地を売却しても、買戻し額での売却は不可能です。さらに不都合なことに、売却困難な土地も多く含まれています。
 今後も交野市が公社保有地を一般財源や起債で買戻すと、交野市民の皆様は、重い負担を続けねばなりません。また、アルゼンチンのようにデフォルト宣言するわけには参りません。そのため、私は、第三の道として、地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債に着目しました。土地開発公社の土地を同事業債で取得し、安全・安心の目的を含めて交野市民の皆様の負担を最大70%軽減します。
 令和6年度、星田会館南側の土地開発公社保有地に加え、全現堂池東側の土地開発公社保有地も同事業債で取得を予定しています。さらに、令和6年度、郡津5丁目の土地開発公社保有地も同事業債での取得を目指します。令和5年度末、土地開発公社保有残高は約50億円の見込です。そのため、可能な限り、同事業債を利用します。なお、緊急防災・減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債での土地開発公社を清算は、全国自治体初の取組です。そのため、財務課の体制強化を引続き実施します。

 

④その他
 地区計画区域の市街化調整区域へ都市計画税課税を進めることを考えています。この施策は、固定資産税を支払っている交野市民の皆様のうち、既に都市計画税を支払っている約95%の交野市民の皆様への公平性・公正性を確保するためです。一方で、結果、交野市の都市計画税の増収に寄与する側面も有します。今後、新たに設置予定の審議会にて、専門的な立場からご意見を頂戴することを予定しています。
 活用予定がない市有地は、全庁的に普通財産のみならず行政財産も整理の上速やかに売却処分します。活用予定がありましても、定期借地権の設定を含めた使用料収入等の確保を図って参ります。
 交野市のふるさと納税は、令和4年度の寄付受入額で、1,180万円であり、大阪府下43市町村で42位でした。そして、41位が摂津市、43位が千早赤坂村でした。その打開策として、来年度、交野市内ゴルフ場にふるさと納税自動販売機の設置を進めます。また、トイレトラックの導入で、地方交付税の基準財政需要額に算入できない30%部分に対し、交野市初のふるさと納税型のクラウドファンディングを実施します。ふるさと納税型のクラウドファンディングは、クラウドファンディングサイトのレディーフォーで実施を予定しています。また、助け合いジャパンに委託し、ふるさと納税額の増額とノウハウの習得を目指します。習得したノウハウは、ふるさと納税額の増額につなげます。そのため、全国自治体2番目、西日本自治体初のAI循環式シャワートラックの整備、全国自治体初のランドリートラック導入、等といった公益性の高い事業でもクラウドファンディングの実施を予定しています。そのため、情報マーケティング課の体制強化を図りたいと考えています。なお、交野市民の皆様もクラウドファンディングで寄付でき、寄付金控除を活用できます。交野市民の皆様が寄付金控除を利用すると、地方交付税の基準財政収入額から75%が減算できることから地方交付税により75%補填されます。そのため、交野市は、交野市民の皆様の交野市へのふるさと納税を増やすべく取組む予定です。交野市の基準財政収入額を減らし、交野市の地方交付税交付金を増やし、結果、ふるさと納税制度そのものの打破に繋がると考えます。

 

(3)物価高騰対策

 新型コロナウイルス感染症により低調となっていた経済活動が再開される中、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や一時1ドル150円を超える円安が発生いたしました。そのため、原油や天然ガスなどのエネルギー価格や小麦などの原材料費価格が高騰しました。我が国では、ガソリン価格、電気料金、ガス料金、といったエネルギー価格を中心とする物価高騰が発生しました。その後、エネルギー価格高騰はひと段落しつつあるものの、食品等、多方面に及ぶ値上げが続いております。また、物価高騰は、名目賃金の伸びを上回る状況が続いています。総務省が令和6年1月19日に発表した昨年12月のCPI(Consumer Price Index 消費者物価指数)は、前年同月比2.6%上昇でした。生鮮食品を除くコアCPIで2.3%上昇、生鮮食品及びエネルギーを除くコアコアCPIで3.7%上昇、でした。厚生労働省が2月6日に公表した令和6年の名目賃金にあたる現金給与総額は、1.2%増にしか過ぎず、実質賃金の減少が続いていると理解しています。
 一方で、WTI(West Texas Intermediate)の1バレル(約159リットル)あたりの原油価格は70ドル台が定着しています。100万BTU(British Thermal Unit)=約25立米あたりの天然ガス価格は、日本や欧州において10ドル台で定着しアメリカに至っては10ドルを割り続けています。石炭価格は1トン100ドル台で推移しています。日本銀行は日本国債のイールドカーブ(残存年数毎の金利)コントロールのうち、10年国債の変動幅を±1.0%にする段階的な金融正常化を実施しています。一方で、アメリカFRBは政策金利を5.5%に据置く金融引締策を継続しています。結果、円ドルの為替相場は、おおよそ1ドル130円から150円のレンジで推移しています。そのため、物価高騰については、令和5年度が頭打ちで、令和6年度は沈静化するものと考えます。
 そうした状況を的確に踏まえた施策が必要だと考えています。令和6年4月からの水道料金値上げによる悪影響が出ないようにします。そのため、令和6年度、現在実施中の下水道基本料金の2か月減免に加え、下水道基本料金の4か月減免を実施します。また、大口の市内の水道利用者に対する支援等も実施します。それらは、本議会へ追加提案をすべく、準備を進めております。
 物価高騰対策もあり、令和5年度の国民健康保険料は、基金の活用で据置きました。そうした中、大阪府は、各市町村の基金の没収の可能性について言及しておりました。最終的に、大阪府は、令和6年4月から大阪府内の国民健康保険料を極めて高い水準で統一します。交野市は、これまで、大阪府市長会等で、大阪府の高すぎる国民健康保険料への統一に明確に反対して参りました。なぜならば、交野市民の皆様の負担が増えますが、交野市民の皆様に受益はなく、しかも国民健康保険料の徴収義務が交野市に残るからです。そのため、千代松泉佐野市長等とともに、高すぎる国民保険料は大阪府の責任であると主張し続ける予定です。なお、物価高騰対策として、これまで大阪府下33市で、最も安い介護保険料を、来年度からさらに引下げる予定です。

 

(4)市役所耐震化

 私はハコモノ行政に反対し、市役所は移転せず耐震化することを公約に掲げ、重点施策としております。市制施行から50年以上が経過し、本庁舎はじめ交野市の施設は老朽化しています。しかし、交野市のヒト、カネ、の正確な現状を考えますと、現時点での建替は、誤った経営判断と考えます。既存の建物を長寿命化し、建替時にその時点の人口や社会情勢に応じて規模を縮減し、トータルコストの削減を目指します。電話世論調査の結果は、生じたお金をコミュニティーバス、財政健全化、物価高騰対策、子育て支援、に充てるべきと示していると解釈しています。
 一方で、交野市役所本館は、耐震工事ができていないことに加え、施設や設備の老朽化が進んでいます。そのため、屋上防水、外壁補修、エアコン更新、トイレの大規模改修、といった長寿命化も実施します。これまで、関係部局と連携を図りながら、具体的な検討を進めて参りました。また、市民の利便性向上や職務環境の向上などの環境改善も併せて図れるよう、検討して参りました。令和6年度当初予算で、これらに係る基本設計等の予算を計上しております。
 青年の家エレベーター設置は、設置可能性調査で、屋内の自動販売機付近に設置可能との調査結果が出ております。そのため、地方交付税の基準財政需要額に32.5%を算入できる公共施設等適正管理推進事業債のユニバーサルデザイン化事業で、令和6年度内に設置する予定です。令和7年度以降、屋上防水、外壁補修、トイレ改修、1階部分の図書館化、等を順次実施します。

 

(5)子育て支援

 1月30日、総務省は、令和5年12月末までの1年間における全国の転入・転出の状況をまとめた「住民基本台帳人口移動報告」を公表しました。交野市は、転入が2,560人、転出が2,261人で、差引き299人の転入超過、いわゆる社会増でした。この結果は、大阪府内では上から7位、北河内地域ではまたもやナンバーワンでした。引続き、多くの方が交野市を評価し、選んでくれていると考えます。
 この人口移動の中身を拝見しますと、0歳から14歳までの子どもとりわけ0歳児から4歳児までと、その親にあたる30代・40代の世代が大幅に転入超過でした。また、社会増の規模は、総務省が年単位の「住民基本台帳人口移動報告」にて転出数の公表をスタートした平成22年以降で最多でした。また、それ以前の年度単位の住民票に係る統計調査からすると、平成12年度以来最多の見込です。主な要因は、市内で進む新たなまちづくりと段階的な給食無償化等といった子育て施策の充実だと考えます。人口減少・少子高齢化の中でも、子育て世代の交野市への転入は、大変喜ばしいことと考えています。一方で、20歳から24歳までの世代は、引続き大幅な転出超過です。就職に伴う転出と想定されますが、本市の構造的な課題であると考えます。また、出生数と死亡数の差引きはマイナス、いわゆる自然減でした。社会増と自然減とを通算した年間人口動態は、残念ながら微減です。少子高齢化の中、交野市の人口減少を食い止めることは困難です。しかし、持続可能な交野市のため、転入超過の更なる上積みを目指します。

 そうした中、交野市を子どもたちに優しい社会にすることは、交野市のみんなに優しい社会にすることだと私は確信しています。そのため、子育て施策の推進は必要不可欠です。令和5年度、保護者の負担軽減を図るため、使用済のおむつを一般廃棄物として回収する施策を実施しました。結果、交野市内保育園でのおむつの持帰りを全廃しました。また、市立認定こども園で、本年4月より3~5歳児の主食の提供を開始予定です。結果、子どもたちが白ご飯を持参する必要がなくなります。公立小中学校では、北河内7市で最も早く枚方市や守口市には実施困難な中学校給食無償化を実現しました。さらに、本年1月からは小学校6年生まで給食無償化を拡充しています。また、みらい小学校以外の小学校への通学路の見守りを1か所ずつ公費で実施しております。

 今後も、子育て支援を充実するため、大阪府初の市立小学校低学年の30人以下学級を1学年毎に順次実施します。老朽化している市内の学校施設で、来年度から、要望の強いトイレの大規模改修を実施します。まずは、交野第二中学校から交野第四中学校で実施します。また、私市小学校、交野第二中学校から交野第四中学校の体育館にエアコンを設置します。星田小学校、妙見坂小学校、旭小学校、で照明のLED化を実施します。全小中学校の机とイスを高さ調整可能な机とイスに買替えます。新しいパイプイス、65インチテレビモニターも購入し、公立の学校としての公平性を確保します。その際には、国の学校施設環境改善交付金、地方交付税の基準財政需要額に32.5%が算入できる脱炭素化推進事業債や地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債を最大限活用します。また、LED化により削減した電気代で、体育館のエアコンのガス代に充当する工夫も実施します。そして、放課後に子どもたちがのびのび遊べる場を確保するため、フリースペースを週5回開催すべく予算措置します。さらに、第二京阪国道高架下では、トイレカーを配置した見守り付のバスケットボールコートとスケボー広場の整備を目指します。これら子育て施策の着実な推進で、若い世代の移住定住に繋がるよう魅力あるまちを目指します。

 

3.重点施策の状況

 交野市長選挙の5つの公約、所信表明の5つの重点施策、のうち、コミュニティーバス、財政健全化、交野市役所耐震化、は既に申し述べたとおりです。そのため、他の2つの進捗と今後の方向性について、順にご説明申し上げます。

(1)学校整備

 令和5年度の施政方針等で、第一中学校区の学校整備は、課題解決を図りつつ、施設一体型小中一貫校をベースに整備せざるを得ないと表明しました。
 その後、案の定、建設事業者より、近年の物価高騰により、約11億円もの値上げを迫られました。施設一体型小中一貫校の仕様が他の小中学校と比較すると著しく過剰なため、仕様変更等を実施しました。結果、約1億円の値下げを実現しました。
 他方で、施設一体型小中一貫校は、交野小学校が耐震工事済のため、交野小学校部分が国庫補助金の対象外でした。そのため、直接文部科学省と協議し、交野小学校部分を国庫補助金の対象としてもらうこと等に成功しました。結果、約13億円の国庫補助金増額に成功しました。また、施設一体型小中一貫校は、解体工事を含むデザインビルドにより、約1年前の令和4年度の低い国庫補助金単価(校舎が平米約23万円、体育館が平米約27万円)が採用されました。結果、国庫補助金が令和5年度の国庫補助金単価に比べ少なくなっていました。そのため、令和5年11月7日、直近の国庫補助金単価への変更を文部科学省へ直接要望しました。結果、約2億円の国庫補助金増額に成功しました。前述した約13億円の国庫補助金増額と合計すると、約15億円もの国庫補助金増額に成功しました。
 施設一体型小中一貫校は、地方交付税の基準財政需要額に45%が算入できる公共施設等適正管理事業債の集約化事業を利用予定でした。一方で、交野小学校、交野みらい小学校、交野第一中学校の建築面積約2万平米のうち、施設一体型小中一貫校の建築面積にあたる約1万6,000平米の除却が条件でした。より具体的に申しますと、除却済の交野小学校7,000平だけでなく、交野第一中学校約7,000平米すべて除却、交野みらい小学校のうち約2,000平米除却せねば基準財政需要額に32億円を算入できないというものです。そうしたことは前市長時代に説明されることはありませんでした。
 また、除却にも多額の費用が必要ですが、そのことも説明されることはありませんでした。負担の圧縮のため、地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債を活用せざるを得ません。そのため、第一中学校及び交野みらい小学校の跡地を地域防災拠点に位置づけ、避難所、備蓄倉庫、防災公園等を整備します。しかしながら、私は、防災拠点とするだけで、交野市民の皆様の理解を得られると考えておりません。

 

 私のこれまでの経験や人脈を活かし、交野市は、2025大阪・関西万博で使用したルクセンブルク大公国のパビリオンの寄贈を受けます。そして、第一中学校跡地にパビリオンを再建築し、跡地利用のひとつとします。現在、交野市はルクセンブルク大公国と、協定締結のための手続きを進めております。
 2025大阪・関西万博のテーマは、命輝く未来社会のデザインです。交野市の取組がそのテーマに最も合致するものと確信しております。そして、協定締結を契機とし、人口約60万人のルクセンブルク大公国や人口約10万人のルクセンブルク市との交流を深めます。将来的には、姉妹都市としての提携も検討します。
 大阪府は国際金融都市を目指していると聞いてはおります。しかし、交野市は、一歩先んじて、欧州の国際金融の拠点であるルクセンブルクとの関係構築に成功しました。なお、交野市は、2025大阪・関西万博の海外パビリオンの寄贈を受ける全国初の自治体です。これら除却や跡地利用は、今後も引続き検討を進め、適切なタイミングで市民説明会を開催します。

 (英文)
 Utilizing my experience and connections, Katano City will receive a donation of the Grand Duchy of Luxembourg's pavilion used at the 2025 Osaka-Kansai Exposition. The pavilion will be rebuilt on the site of Katano No.1 Junior High School and will be used as one of the uses of the site. Katano City is currently proceeding to conclude an agreement with the Grand Duchy of Luxembourg.
 The theme of the 2025 Osaka/Kansai Exposition is designing future society in our lives. I have confidence that Katano City's efforts most matches the theme. With the conclusion of the agreement, Katano City will also establish mutual exchanges with the Grand Duchy of Luxembourg, which has a population of approximately 600,000, and Luxembourg City, which has a population of 100,000. In the future, we will also consider partnering as sister cities.
 I have heard that Osaka Prefecture is aiming to become an international financial city. On the other hand, Katano City went one step ahead and succeeded in building a relationship with Luxembourg which is Europe's international financial hub. In the first time in Japanese local government, Katano City will receive the donation of an overseas pavilion at the 2025 Osaka/Kansai Exposition. We will continue to consider the demolish and use of these sites, and hold public information sessions at appropriate times.

 

(2)水道料金値上げ凍結

 食品やエネルギーを中心とする物価高騰の中、水道料金の値上げはタイミングとして適切ではないと考えます。そのため、公約どおり、水道料金値上げ凍結を継続しております。また、令和4年度には、公約どおり、水道基本料金2ヶ月免除を実施しました。
 しかしながら、市長就任後、交野市として、厚生労働省の「生活基盤施設耐震化等交付金」のうち「水道管路緊急改善事業」の存在が判明しました。コンセッション、大阪広域水道企業団への経営統合、給水原価以上の水道料金値上げ、のいずれか実施で、基幹管路更新費用の約3分の1にあたる年約数億円の補助金がもらえるという内容です。ただし、コンセッションで水道の運営権を外資を含む民間企業へ売却するわけには参りません。また、大阪広域水道企業団への経営統合で交野の誇りである交野の水を将来的になくす可能性にも繋がることから、そうするわけにも参らないと考えます。苦渋の決断ですが、給水原価以上の水道料金値上げを選択するに至りました。
 一方で、下水道基本料金を年度平均で6か月分免除することで、3年間、水道料金値上分を吸収します。その上で、令和8年9月の交野市長選挙の結果を受け、令和8年度中に、今後の水道料金を改めて決めるべきと考えます。なお、水道料金値上げの議決後も交野市内にて12回の市民説明会を開催しております。市民の皆様におかれましては、ご理解とご協力のほど、重ねてお願いいたします。

 

4.令和6年度の主要な取組み

 続きまして、第5次総合計画第1期基本計画の施策体系をベースに令和6年度の主要な取組を説明します。

■みんなで子どもを育み、子どもがのびのびと学ぶまち

(子育て、幼児教育・保育)
 子ども子育て施策で、令和6年度末に計画期間が満了する「子ども・子育て支援事業計画」に基づき取組を進めます。今後の保育や子育て支援サービスの提供体制を確保するため、次期計画の策定を進めます。次期計画に基づいて、令和10年度までに、重点的に子育て支援施策を実施します。なぜならば、地方交付税の基準財政需要額に45%が算入できる国のこども・子育て支援事業債を活用できるからです。
 妊婦・子育て家庭への支援で、健やか部内の組織再編により、こども家庭室を設置します。こども家庭室にて、児童福祉と母子保健の一体的支援を行います。また、支援の必要な家庭に対し、育児等の援助を行う子育て世帯訪問支援事業を新たに開始します。また、産後ケア事業の拡充等で、切れ目ない包括的な支援を進めます。児童発達支援センターでは、業務の一部集約化やスーパーバイザーの配置等を実施します。それにより、地域の中核的な療育支援施設としての機能強化を図ります。
 幼児教育・保育で、今後も子育て世帯の転入等保育ニーズの増加が見込まれます。そのため、民間保育施設に対する施設整備補助を実施し、保育の受け皿を確保します。また、看護師配置や病児保育等を実施する民間保育施設に対し、国基準を超える補助を継続し、全市的な質の向上を図ります。
 放課後児童会で、児童会を支える指導員不足は、待機児童の発生に繋がる大きな課題と考えます。そのため、指導員の継続的な確保を図るため、任期付き職員の統括指導員の採用に力を入れます。併せて、交野市の保護者の皆様に対し、採用の周知を図り、指導員確保につなげます。また、保護者ニーズが高いことから、学校の長期休業期間における配食サービスの導入のための検討を進めます。

 

(学校教育、教育環境)
 次に、学校教育で、基礎学力の向上を目指した読み、書き、計算、の徹底を図ります。また、家庭での学習時間が少ない課題があることから、課題の解決と学力の向上を図ります。学校給食の牛乳パックを焼却処分していますが、教育上問題があると考えます。そのため、牛乳パックリサイクルと牛乳パックリサイクルで生じたトイレットペーパーの小中学校での利用を検討します。また、高すぎるランドセルは、今後のランドセルの在り方の検討を進めて参ります。第一中学校区に導入されたコミュニティー・スクール制度の他中学校区への導入で、更なる理解促進を図ります。
 交野市は七夕伝説にゆかりのある「星のまち交野」として知られています。そうした中、星の里いわふねに設置されたプラネタリウムは、約15年間休止していました。また、投影機の改修や新規購入に約1億円必要な状況でした。この度、当該施設の指定管理者の負担で、交野市が費用負担をすることなくプラネタリウムが再開し、新聞報道等もされました。令和6年度、小学校4年生の課外学習として、プラネタリウムを利用します。また、これまで利用できなかった小学校5年生から中学校3年生までを、無料招待する予定です。なお、2025大阪・関西万博への子ども2回目の招待は、大阪府による市町村への負担の押付けだと考えます。他の子育て支援の予算が削られることから、明確に反対し、交野市としては実施しません。また、私市小学校敷地内にあるアスレチックの復活も目指して参ります。
 通学路の安全対策で、児童の登下校時の安全確保を図ります。そのため、「子供の移動経路に関する交通安全プログラム」や登下校見守りシステムを活用した取組を進めます。

 

■みんなが互いを認め支え合い、笑顔と元気があふれるまち

(地域福祉、高齢者福祉、障がい福祉)
 次に、地域福祉で、社会福祉法の改正に伴い創設された「重層的支援体制整備事業」を引続き実施します。また、既存の取組を活かしつつ、身近な相談支援体制や多機関協働、アウトリーチ等を通じた継続的支援の体制を整備します。結果、複合・複雑化した課題や狭間のニーズへの対応・支援を行い、地域共生社会の実現を目指します。
 長引く不況等による生活状況の変化も踏まえ、生活困窮者自立支援制度を活用した支援を進めます。また、さまざまな事業により経済的に困窮する方への最後のセーフティネットとして、生活保護制度を厳正に運用します。
 障がい福祉で、市有地を活用し、これまで交野市に不足していた重症心身障がい者の施設整備を推進します。また、障がい児者が住み慣れた地域で安心して生活できるようにします。そのため、親亡き後を見据えた地域生活支援拠点の整備、医療的ケア児等コーディネーターの配置等、障がい福祉サービスの充実を図ります。
 また、令和6年4月から、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。そのため、スロープ設置等の設備改修や点字メニュー等の物品購入に対する補助制度の活用を推進します。また、障がい児者の社会参加を促進します。
 高齢者福祉で、介護の必要性の有無にかかわらず、住み慣れた地域での生活の質の維持が図られるようにします。そのため、地域包括ケアシステムの充実に向けて取組みます。また、高齢化率の上昇に伴う介護予防事業や介護人材確保のための補助制度の実施等、効率的・効果的な施策を推進します。
 認知症対策で、認知症に対する理解促進や予防の取組を推進します。また、認知症高齢者本人が地域で希望を持って自分らしく暮らし続けることができるようにします。そのため、認知症サポーターと関係機関が連携し、認知症の人やその家族を見守り、支援する仕組の整備に取組みます。

 

(健康・医療)
 健康づくりで、これまでワンコインでのがん検診事業を実施して参りました。さらに、新たに成人歯科健診の対象年齢を拡大し、受診勧奨等の取組を推進します。また、引続き、がん検診の受診率向上や新型コロナウイルスワクチンを含む、定期予防接種の適切な周知啓発を図ります。また、がんに罹患された方への新たな支援を実施します。補装具等の購入費に対する助成制度を創設し、治療と社会参加等の両立支援を図ります。

 

(生涯学習)
 社会教育施設の老朽化対策として、国の制度であるESCO事業を活用します。総合体育施設のエアコンや屋内プールの設備改修を図ります。また、地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債を活用した青年の家武道施設のエアコン設置の設計に取組みます。
 寺作業所跡地におけるスポーツ施設の整備は、可能な限り地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債、緊急自然災害防止対策事業債の活用を目指します。防災に重点を置きつつも、6面のテニスコート整備を優先します。また、地元地区や各種団体及び関係部局と連携を図りながら、整備に向けて取組みます。
 図書館で、令和5年度に交野市負担なしで商業施設に図書返却ポストを設置しました。読書活動の機会がより身近になるよう、交野市負担なしでの返却ポストの増設を検討します。また、移動図書館車ぶんぶん号は、まちづくりが進む星田駅北地域へ巡回場所を設置します。また、一般社団法人自治振興センターのコミュニティー助成事業の1,000万円の補助金獲得を前提とした車両の更新を実施します。また、青年の家1階部分の図書館化に向けた検討を実施します。

 

■みんなが助け合い、安心して住み続けられるまち

(防災・減災)
 次に、防災・減災で、今後起こり得る大規模災害時の災害応急対策を推進します。そのため、地方交付税の基準算財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債を活用した防災行政無線の機器更新や防災拠点の整備を計画的に進めます。また、地域の自主防災組織への防災資機材助成や地区防災マップ作成補助、地区主催の防災訓練への支援や提案等を行います。結果、更なる地域防災力の向上に努めます。
 激甚化・頻発化する水害に対し、その被害を最小限に抑えて参ります。準用河川における堆積土砂の撤去等を行い、適切な維持管理を進めて参ります。また、護岸等の点検や、想定最大規模の降雨に基づく浸水想定区域図作成等のソフト対策を進めます。また、草川雨水幹線等の整備に向けた用地取得を実施します。また、大西川における雨水貯留施設の整備に向けた用地取得や防災公園の整備を目指します。また、星田7丁目における雨水のバイパス管整備などの浸水対策事業を実施します。
 いわゆる星田エリア全体事業で、今般、事業者の選定が行われました。市民創造の森整備構想区域内にある急傾斜地対策及びその周辺における市有地等の処分活用を一体で行う事業です。交野市発注事業である急傾斜地対策工事の円滑な実施に取組みます。また、事業全体の適切な進捗管理を図るとともに、市民説明会を開催いたします。

 

(消防・救急、暮らしの安全・安心、コミュニティ・市民活動)
 消防・救急は、近隣市との消防指令業務の共同運用や合同訓練を実施します。しかしながら、消防広域化で、事務委託は受入れ難く、また、一部事務組合は、均等割20%を受入れられないと考えます。そのため、令和6年度、救助工作車、高規格救急自動車、消防ポンプ自動車の新規更新を進め、消防力の充実強化を図ります。加えて、現在の消防本部が浸水想定区域にあることから、消防庁舎の移転も検討を進めます。その際、地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債を活用する予定です。
 また、交野市内に複数ある大規模倉庫などの防火対象物の関係者に対し、適正な訓練指導を行います。また、消防団と連携し、住宅用火災警報器の普及啓発を行います。火災の少ない安全なまちを目指して参ります。
 防犯は、令和4年に人口10万人あたりの刑法犯認知件数が大阪府下33市で最少を記録したため、生活安全都市宣言を行いました。今後も継続して最少となることを目指して取組みます。近年多発している特殊詐欺対策のため、特殊詐欺の電話を防止する機能を備えた機器の高齢者への無償貸与事業を継続します。
 高齢者の運転による交通事故の防止を図るため、高齢者の運転免許証の自主返納を促します。また、70歳以上の運転免許証の自主返納者に対しタクシー補助等の支援を図ります。

 

■みんながつどい交流し、活力が生まれるまち

(都市環境・住環境)
 星田北エリアの土地区画整理事業で、令和5年度に星田北地区が事業完了しました。しかし、当該地区の法人市民税の状況には憤懣やるかたない思いでいっぱいです。また、枚方市域で交野市負担により整備した都市計画道路は、枚方市に対し、状況に応じて費用負担を求める協議を実施します。令和6年度、星田駅北地区で換地処分を行った後、組合解散及び清算に向けた手続きが進められるものと聞いております。病院移転はなく、また、中北製作所の移転は未だ実現しておりません。整備された公園をめぐり、転入者から遊具が設置されていないといった苦情まで頂戴しております。そのため、現在、星田駅北地区の組合に、しかるべき対処を求めております。
 寺・向井田地区のまちづくり検討会で、地権者の意向調査や企業ヒアリング結果に基づく当該エリアのまちづくり構想案の策定が進んでおります。その実現化の手法として、土地区画整理事業とすることが決定されました。今後、土地区画整理事業での事業成立性を高めるため、検討区域の拡大に係る検討や、勉強会、先進地の視察等を実施して参ります。そして、地権者のまちづくりに対する機運醸成を図り、次のステップである協議会の設立に向けた協議を進めます。なお、当該エリアは、過去に地域においてJR新駅設置に係る協議会が設置され検討が進められた過去もあります。このまちづくりの機運醸成を踏まえ、交野市として現時点における新駅設置の可能性に係る調査を実施する予定です。
 また、将来的な人口減少を克服するまちづくりが求められると考えます。そのため、効率的な居住誘導や拠点配置を行う立地適正化計画の策定を進めて参ります。
 次に住宅施策は、令和6年度より、「空家等対策の推進に関する特別措置法」の改正を踏まえた第2期の空家等対策計画をスタートします。これまでの特定空き家に加え、その前段階となる管理不全空き家の取扱いを新たに加えました。それにより、空き家の発生抑制等、良好な住環境の維持に取組んで参ります。これまで、空き家対策と移住・定住促進の両面を目的とした補助制度を運用し、一定の効果を得ておりました。しかし、建築年数の浅い物件に比べて、一定数経過した中古住宅の流通が鈍い状況です。そのため、令和6年度より、中古住宅の流通促進を目的に補助要件を見直します。

 

(産業振興、道路・河川、公園・緑地)
 次に、産業振興で、令和6年度から、「つながって強くなる交野の産業」をコンセプトとした「第二次産業振興基本計画」がスタートします。機構改革で、商業・工業、観光に農業を加えた新しい地域振興課の体制に移行します。移行を受け、相互の連携による産業振興に取組みます。また、交野市駅前の買物支援とにぎわい創出を実施します。また、物価高騰対策のための支援や経営相談など、市民、事業者、経済団体等と連携・協力した産業振興を推進します。
 道路事業は、路面性状調査の結果を基に、舗装修繕計画を更新し、優先度の高い路線から舗装補修工事を進めます。また、昨年度に更新した橋梁長寿命化修繕計画に基づき、老朽化した橋梁の補修設計を進めて参ります。交野高校北側にある私部寺線の歩道は、老朽化が進行しているため改修工事を実施します。
 公園、緑地では、公園や緑地等の更なる機能拡充や利便性の向上を図ります。天野川緑地の照明LED化整備工事を進めます。また、天野川緑地で、交野京阪タウンとの境界の開渠の暗渠化と斜面への滑り台の設置の検討を進めます。松塚公園で、園路及び広場の補修工事を行います。また、老朽化したトイレは、トイレトレーラーへの置換えの検討を進めます。地方交付税の基準財政需要額に70%が算入できる緊急防災減災事業債を利用します。今池の埋立地である郡津公園で、遊具設置に向けた設計業務を実施します。また、長きに渡り未着手となっている都市計画公園の整備で、現在の整備計画の見直しを実施します。その際には、公園が目指すべき利便性の向上や防災的な役割などを考慮します。また、都市計画公園の範囲の見直しや名称変更の検討を進めます。

 

(上水道・下水道)
 年明け早々に発災した能登半島地震で、阪神淡路大震災後の基準で耐震化された配水池での漏水が発生しました。また、耐震管で整備された水道管の破断等も発生しています。連日、現地から、断水の状況や、水が届かないことによる不便な生活の現状が報告されております。改めて迅速な応急給水活動と水道施設の復旧の重要性を実感しております。そのため、漏水事故等が発生すると市民生活に大きな影響を与える基幹管路の更新・耐震化から順次進めます。また、フェイズに応じた給水拠点を決定し、給水活動等の具体的な対応を検証します。そして、基幹管路の更新、耐震化を、国庫補助金を活用しつつ計画的に進めます。そのため、補助金の採択基準である料金回収率100%以上を達成するよう経営管理の徹底を図ります。
 乙辺浄化センターの枚方市・寝屋川市との広域共同処理の協議・検討を進めております。その際には、企画財政部を中心に、関係部署と調整する体制を採っております。令和6年4月より、施設更新に先行し、寝屋川市とし尿及び浄化槽汚泥の広域共同処理を開始します。更なる広域共同処理を実現し、より効率的で安定した処理体制の構築を目指して参ります。

 

■みんなで自然や文化を慈しみ、次世代に引き継いでいくまち

(脱炭素・循環型社会、自然共生・生活環境)
 省エネを推進するため、全公用施設、全公共施設、全小中学校のLED照明導入のための設計を実施します。LED照明導入の際には、地方交付税の基準財政需要額に32.5%が算入できる脱炭素化推進事業債を最大限活用します。また、令和5年度に寄贈された電気自動車に続き、今後も電気自動車の寄付は歓迎します。

 

5.予算編成

 以上の方針により編成いたしました令和6年度の各会計の当初予算は、

一般会計            352億2,915万6千円
国民健康保険特別会計      77億4,829万4千円
介護保険特別会計        69億6,313万8千円
公共用地先行取得事業特別会計    2億4,841万円
後期高齢者医療特別会計     18億8,849万1千円
水道事業会計          31億3,905万9千円
下水道事業会計         26億1,911万円

総 額             579億3,565万8千円

でございます。

 

おわりに

 画一的な施策の実施では、人口7万7,000人の交野市が、今後も活力あるまちとして生き残っていくことは困難と考えます。そのため、知恵をしぼり、ハコモノ行政ではなく、(1) コミュニティーバス、(2) 財政健全化、(3) 物価高騰対策、(4) 交野市役所の耐震化、(5) 子育て支援、に全力を挙げて取組んで参る所存です。
 これまでの交野市は、北河内7市の中で、小さくて、財政状況も悪く、後発的な自治体でした。しかし、私が市長就任後、事業実施の考えを根本的に変えました。まずは事業でお金がかからないようにし、事業でお金がかかる部分は国の補助金や地方交付税の基準財政需要額への算入を最大化し、残額は、稼いだお金で充当して参りました。また、先進的な施策を連発し、大阪府を代表する先進市として、交野市は生まれ変わりつつあります。市長が変われば、ここまで市政が変わることを、交野市民の皆様は一定わかっており、そのことが電話世論調査の数値に出たと考えます。

 令和4年度、臨時運行許可証、いわゆる、仮ナンバーを返さない人に対し、道路運送車両法違反で刑事告発すると警告しました。結果、仮ナンバーを全て回収しました。交野市の取組もあり、近畿運輸局は自治体に対して刑事告発等も視野に入れた対策の強化を求めました。
 令和5年度、改正民法施行にあわせて、地域課題となっていた市道への越境木を全国自治体で初めて強制切除しました。当該箇所の道路交通環境が改善したことから、地域の安全・安心も取戻しました。また、がらと川の河川敷を長年不法占用し続けているにもかかわらず、交野市は、約10年間是正指導を放置していました。私は当該事業者に対し、是正指導を再開しました。また、交野警察署に刑事告訴し、大阪法務局長に不法占用の提訴の要望書を提出いたしました。なお、30%カットの私の月額報酬は、約10年間の是正指導放置による責任を踏まえ、現在も40%カットしております。

 交野市役所の組織運営で、先進的な人事制度改革を進めて参りました。職員の年齢構成の適正化のため、細分化した年齢制限に基づく職員採用、早期退職制度の対象年齢の拡充、60歳役職定年制度の導入、を実施しました。行き過ぎた職員数削減の見直しのため、定員管理計画を改正の上、10月採用の本格導入や職員採用増を実施しました。そのため、北河内7市で最も高い課長代理級以上の管理職比率は適正化しつつあります。また、採用困難職種のうち、不足する土木・建築・電気・保健師といった専門職は、年齢制限を緩和して職員採用を実施しました。また、加齢困難職種への対策として、消防職員の転籍を含めた人事交流を開始しました。

 限られた職員数で行政需要の増加や地域課題に対応する必要があります。そのため、組織機構を可能な範囲で統合し、関連する業務や専門人材を集約しました。縦割行政の弊害をなくし、職員が連携・協力しやすい体制を整えるべく、機構改革を進めて参りました。
 令和6年4月、地域振興課に旧農政課が所掌する農政機能及び農業委員会事務局機能を統合し、人員体制も強化します。また、乙辺浄化センターの事務機能の整理のため、環境部の組織を環境事業所に集約します。また、都市計画部と都市整備部とを統合し、都市まちづくり部を設置します。回収困難な債権管理は、まずは市税、国民健康保険、後期高齢者医療保険、を対象に、一体的に対応します。組織を新設すると組織統合の方向性に反することから、税務室に集約し、徴収の一元化を進めます。また、違法建築物件への課税を厳正化するとともに税務室の体制強化を図ります。行政委員会事務局は、執務室を市役所本館2階に移転させます。また、総務部職員との併任辞令の活用により、連携・協力体制の強化を進めます。生涯学習推進部社会教育課の体制立て直しを実施します。加えて、より一層の施策推進のための体制構築のため、令和6年度中に副市長2名体制への移行を図ります。なお、財政的な影響を考慮し、新任の副市長は、庁内登用を予定しております。
 令和7年4月からは、生涯学習推進部のうち、文化財を除く社会教育業務、図書館業務、を市長部局へ変更の上、名称変更を検討します。また、生涯学習推進部の青少年育成業務を健やか部に移管し、健やか部の成人の健康増進業務を市民部に移管します。健やか部は、子どもを真ん中にした体制への変更と名称変更を目指します。他方で、令和7年度中における教育総務室、学校教育部、文化財、のみらい小学校跡地への移転を検討します。都市まちづくり部は、執務室集約の検討を進めます。人権と暮らしの相談課は、そのあり方や所管を検討します。また、消費生活センターは、所管を検討します。

 以上をもって、新年度の施政方針についての説明といたしまして、議会の皆様、交野市民の皆様のご理解・ご協力を賜わりますよう心よりお願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ

秘書政策課 政策企画担当
TEL:072-892-0121

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