公開日 2025年10月01日
更新日 2026年03月31日
令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました(同月24日公布)。
この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流、養子縁組、財産分与等に関する民法等の規定を見直すものです。
この法律は、2026年(令和8年)4月1日に施行されます。
詳しくは、法務省ホームページをご覧ください。
>>法務省「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」
1.親の責務に関するルールの明確化
【こどもの人格の尊重】
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。
【こどもの扶養】
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなもの(生活保持義務)でなければなりません。
【父母間の人格尊重・協力義務】
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、DVや虐待から避難するために必要な場合など正当な理由がある場合を除き、この義務に違反する場合があります。
●父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等
●父母の一方が、他方による日常的なこどもの監護に、不当に干渉すること
●父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
●父母間で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと。など
父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務等に違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があります。(法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」)
【こどもの利益のための親権行使】
親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること) は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
2.親権に関するルールの見直し
父母の婚姻中は父母双方が親権者ですが、これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。
3.養育費の支払確保に向けた見直し
【合意の実効性の向上】
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。
【暫定的に請求することができる養育費(法定養育費)の新設】
離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、暫定的に一定額の養育費を請求することができるようになります。また、この暫定的な養育費の支払がされないときは、差押えの手続を申し立てることができます。 この新設された制度は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取決めをしていただくことが重要です。
【裁判手続の利便性向上】
養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
【親子交流の試行的実施】
家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどもの利益を最優先に考慮して、親子交流の試行的な実施を促します。
【婚姻中別居の場合の親子交流】
父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどもの利益を最優先に考慮し、父母の協議により決定し、協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定めることになりました。
【父母以外の親族とこどもの交流】
こどもの利益のため特に必要があると家庭裁判所が認めた場合は、祖父母等の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができます。
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